論文が掲載されました

 フードシステム学会の学会誌である『フードシステム研究』第22巻2号pp.55-69に,「高齢者の健康的な食生活維持に対する阻害要因の分析ーGISおよびマルチレベル分析を用いたフードデザート問題の検討ー」という論文が掲載されました。私はセカンドオーサーとして,主にマルチレベル分析を担当しました。


 以下に,概要を書き留めておきます。興味をお持ちの方は,図書館などでご覧ください。


<概要>

 本研究の目的は,地方都市の中心部で暮らす高齢者の健康的な食生活を阻害する要因を分析することである。調査対象者の多くは町の中心部で生活しており,約49%が低栄養状態であった。マルチレベル分析を用いて解析した結果,家族やコミュニティに対して弱い紐帯しかもたないこと,および食料品にアクセスが困難であることは,町の中心部で暮らす高齢者の栄養状態を悪くする要因となっていることが示された。これらの地域は「フードデザート(FDs)」と捉えることができる。これまで,フードデザート問題は過疎地域や,商店街がシャッター通りと化した地方都市における社会問題であり,自家用車がないと物理的に買い物が困難となるという社会問題とみなされてきた。しかしながら本研究は,社会関係が希薄となることもまた,フードデザートのリスクを増大させることになることを示している。