日本都市学会で報告してきました

 2017年10月28日(土),石巻魚市場にて行われた,日本都市学会64回大会において,自由報告を行ってきました。研究発表I:都市の復興モデル,部会で報告させていただきました。今回の大会のテーマが「都市の復興モデルを探る」でしたので,まさに大会テーマに即した部会で報告させていただいたことになります。

 

 私の報告タイトルは「大槌町災害復興公営住宅入居者調査報告(2)ー食品摂取多様性調査による分析ー」です。岩手大学の麦倉先生,早稲田大学の野坂さんとの共同研究について,3名がそれぞれの切り口から報告しました。私が取り上げたテーマは,高齢者の食生活(フードデザート問題:食の砂漠問題)です。

 

 食品摂取多様性調査からは,低栄養状態に陥っている方を発見することができるのですが,低栄養状態と推測できる方は,60代で多く,70代以降で極端に少ない,という結果でした。この結果を,70代以降の栄養状態がよい,と楽天的に解釈することは危険だと,私は考えています。むしろ70代以降で低栄養である人が,調査に協力できないほど健康を害している可能性が高いのではないかと推測しています。この推測が正しい場合,今は健康な60代でも,食事を改善していかないと今後健康を害する人が大量に現れることになります。

 

 本設である災害公営住宅に住むことができたから,復興が完了した。そのように思う方もおられるかもしれませんが,実際は課題が山積みです。その課題のひとつに,フードデザート問題があります。この問題の解決に向けた取り組みが必要だと考えております。

 

 なお,今回の学会報告の内容は,明治学院大学社会学部付属研究所の『研究所年報』48号に掲載され,2018年3月ごろ刊行されます。刊行後は,論文はここから閲覧およびダウンロード可能となりますので,関心のある方はご覧ください。