第6回震災問題研究交流会が終了しました

 2020年3月20日・21日の2日間、第6回震災問題研究交流会を無事に開催することができました。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大という「災害」の渦中であったため、研究交流会を開催するかどうか、運営に関わる者として迷いました。しかしながら、研究交流会の意義を考え、会の運営方法を工夫することにより開催することにいたしました。その結果、多くの方々に集まっていただくことができ、活発に議論を行うことができ、研究交流を成功裏に終えることができたと思います。参加いただいたみなさまに、感謝申し上げます。

 

 震災問題研究交流会は、「東日本大震災研究交流会」として発足し、第1回の研究交流会を2015年3月に明治学院大学にて行いました。東日本大震災後、多くの研究者が被災地を訪れ研究活動を展開してきましたが、お互いに情報交換を行う場がありませんでした。そこで、日本社会学会、日本都市社会学会、地域社会学会、環境社会学会の4学会が共催する形で、「東日本大震災研究交流会」を開催することになりました。私は日本都市社会学会から選出された運営委員として、この研究交流会の運営に携わりました。

 

 2017年3月には、第3回東日本大震災研究交流会を早稲田大学にて開催しました。このときまで4つの学協会が運営委員を出す形で運営してきましたが、その運営体制を発展的に継承する形で、「震災問題研究ネットワーク」が発足することとなりました。このネットワークの代表幹事を浦野先生(早稲田大学文学学術院)がつとめ、浅川が庶務幹事をつとめることとなりました。

 

 この「震災問題研究ネットワーク」の幹事が中心となって科学研究費の申請を行い、2019年度から4年間、基盤研究費(A)の助成をいただくことができました。その助成を用いて、Zoom会議を導入し、日本全国に散らばるメンバーが、容易に研究会に参加することができるようになりました。

 

 その経験を踏まえて、今回の第6回震災問題研究交流会の開催となりました。Zoomを介しての参加および報告が行えるよう準備し、感染予防のため懇親会の開催を断念し、純粋な研究交流のみにとどめることにしました。また交流会を2日間開催とし、初日は社会学者に限らず「災害研究」に関心を持つ全ての方々に門戸を開く形で研究交流会をもちました。2日目は基盤研究Aのメンバーの研究報告を中心に議論を深めました。私自身、さまざまな気づきを得ることでき、来年度の調査研究計画立案のためのたくさんのヒントをいただくことができました。

 

 今では部会の司会を任されることも多いため、災害研究者と思われることもあるようですが、私は災害研究については素人です。災害研究の経験が全くないにもかかわらず、偶然の巡り合わせで、2011年4月から東日本大震災の被災地である岩手県上閉伊郡大槌町に通うことなったのです。ですがそれ以来9年間、災害研究者の方々と研究交流を行い、共同研究をするなかで、少しずつ災害研究について知ることができるようになりました。災害研究に対して社会学が貢献することができることも、少しずつわかってきました。そうこうしているうちに約10年が経ちました。いつまでも「素人」と言っているわけにもいかず、きちんと勉強しなければいけないと自戒しております。

 

 次回第7回研究交流会は、東日本大震災後10年目の節目の年の開催となります。今後、震災問題研究ネットワークの幹事会にて、第7回研究交流会の企画については議論することとなります。震災後の被災地の変化に加えて、日本社会全体に起きた変化をも射程に入れて議論できる場にできるよう、考えて参ります。